【婚姻費用】別居中の生活費(婚姻費用)の決め方、具体的な請求方法、不払時の対応方法

別居中の生活費は、配偶者に請求できます 三輪知雄法律事務所 名古屋・金山

よくあるご相談例

・配偶者からDV(ドメスティックバイオレンス)を受け、子どもと一緒に逃げてきた。
・配偶者が不倫したあげく、勝手に出て行ってしまった。
・配偶者のモラハラがひどく、生活費も入れてくれない。離婚を前提に別居をしたい。

このように、別居の理由は様々ですが、配偶者の収入に頼って生活していた場合など、突然、生活費がもらえなくなると、生活費や子どもの教育費の支払など、立ちどころに困ってしまいます。

しかし、法律上は、別居中であっても「婚姻費用」、すなわち生活費を相手に請求できることとなっていますので、あきらめずに請求すること、支払ってもらえなければ、弁護士に相談することが必要です。

1.まず、婚姻費用とは・・?

婚姻費用とは、収入などに応じて、通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことをいいます。具体的には、家賃、食費、医療費、子どもの学費、その他一連の生活費のことをいいます。

法律上、婚姻費用は、夫婦それぞれの収入に応じて分担する義務を負っており、別居していても、婚姻関係にある以上は、収入に応じた金額を負担しなければなりません。

そのため、夫婦が別居した際、例えば、妻に比べて収入の高い夫が生活費を払ってくれないような場合は、「婚姻費用分担請求」をすることができます。

2.婚姻費用の支払方法や額の決め方は?

婚姻費用の決め方には、大きく分けて3パターンの方法があります。

婚姻費用を決める3パターンの方法

方法1:夫婦間の話し合いで決める

方法2:公証人役場で公正証書を作成

方法3:家庭裁判所における「婚姻費用分担請求」の調停で決める。

方法1:夫婦間の話し合いで決める

夫婦間の話し合いで婚姻費用の額について合意できれば、その合意は有効です。

しかし、正当な理由もなく、裁判所の「婚姻費用分担表」の額からかけ離れて高い、安い金額で合意した場合には、後日、高すぎて支払えなくなったり、安すぎて生活できない配偶者が弁護士に相談するなどして、婚姻費用分担の調停を家庭裁判所に起こされる可能性が高くなりますので、そのようなリスクがあることは考慮しておかなければなりません。

方法2:公証人役場で公正証書を作成する

夫婦間で婚姻費用について合意した場合には、後から言った言わないの争いにならないように、合意内容をきちんと文書にしておく必要があります。

その場合、合意内容を、メールや任意の文書に記載しておくということでも、合意内容が明確になるという意味では悪くはありませんが、できれば合意内容を「公正証書」という文書にしておくことをおすすめします。

婚姻費用に関する合意内容を、公証人役場にて「公正証書」にした場合は、単なる夫婦間の文書よりもさらに強い効果が期待できます。

公正証書には”2つの強い効果”がある!

効果1:
第三者(公証人)が文書を作成するため、文書を紛失したり、変造される危険がなく、条項や文言の解釈に争いが生じる可能性がほぼない

効果2:
婚姻費用の支払が滞った場合、公正証書は裁判手続を経ることなく、差し押さえが可能。民事執行法の改正により、養育費の取り立て・回収がしやすくなった!

効果1:
第三者(公証人)が文書を作成するため、文書を紛失したり、変造される危険がなく、条項や文言の解釈に争いが生じる可能性がほぼない

公正証書は、公証人という第三者が、双方から合意の内容を聞いて作成し、原本は公証人役場に保管されます。
したがって、文書を紛失してしまう危険はありませんし、文言や条項の解釈をめぐって、お互いの意見が食い違うという可能性も少ないといえます。

なお、公証人との連絡、調整に不安を感じる方は、三輪知雄法律事務所に依頼し、夫婦間で取り決めた内容を文書化した上で、公証人との連絡や日程調整、公正証書作成当日に必要な証人手配などを行うことも可能です。

効果2:
支払が滞った場合、公正証書は裁判手続を経ることなく、差し押さえが可能。民事執行法の改正により、婚姻費用の取り立て・回収がしやすくなった!

万が一、婚姻費用の支払が滞った場合に、夫婦間で作成した任意の文書やメールでは、合意内容の証明にはなりますが、すぐに相手方の財産を差し押さえることはできません。

具体的には、弁護士に依頼し、差し押さえる前に、相手方が応じない場合には、改めて訴訟などを起こし、勝訴しないと、相手方の給与や財産の差し押さえはできません。

これに対し、公正証書(「執行受諾文言」のあるものに限ります)の場合は、裁判手続を経ることなく、差し押さえが可能となります。

この点は、養育費の記事ですが、以下の「民事執行法改正により、未払の養育費が回収、取り立てやすくなる」の記事もご参考にしてください。

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方法3:家庭裁判所における「婚姻費用分担請求」の調停で決める

話し合いがまとまらない例・・

・勝手に出て行ったんだから生活費は支払わないと言われてしまった・・。
・連絡を無視され、話し合いができる状況ではない・・。
・DV相手には連絡先すら知られたくない・・。

そもそも、このように話し合いが成立しない場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうか、裁判所における婚姻費用分担請求調停を申し立てることを検討します。

調停とは、裁判所の第三者(「調停委員」と呼ばれます)を交えた裁判所における話し合いの手続です。当事者が裁判所に出席して話し合いを行い、お互いの言い分を調整して、最終的に双方が納得する婚姻費用の金額と支払方法を決める手続となります。

家庭裁判所では、裁判所の「婚姻費用の算定表」(インターネットなどでも検索できます)を前提に、夫婦それぞれの収入、子供の数、年齢やその他の事情を加味して、婚姻費用が決められます。

3.調停の場合、婚姻費用は別居開始日までさかのぼって請求できますか?

婚姻費用の請求を別居開始日までさかのぼって請求することは可能です。ただし、調停などでは、相手方が支払に応じれば別段、応じない場合は、別居開始日までさかのぼっての請求は認められないことが多いです。

つまり、別居直後からの婚姻費用を相手の配偶者に請求するためには、まずは別居後、すぐに相手の配偶者に請求を行い、支払われない場合は、すぐに弁護士に相談するなどして、婚姻費用の調停を申し立てなければ、受け取れる婚姻費用の額が減ってしまうことになります。

このような事態を避けるためには、別居を開始するまでに弁護士に相談して、調停申立ての準備を進めておき、別居開始後、すぐに調停の申立てを行うことをお勧めします。

4.婚姻費用はいくらでも請求できるのでしょうか?

夫婦間の話し合いの場合は、配偶者が合意すれば問題ありません

しかし、正当な理由もなく、裁判所の「婚姻費用算定表」の額からかけ離れて高い、安い金額で合意した場合には、後日、高すぎて支払えなくなったり、安すぎて生活できない配偶者が弁護士に相談するなどして、婚姻費用分担の調停を家庭裁判所に起こされる可能性が高くなりますので、そのようなリスクがあることは考慮しておかなければなりません。

裁判所での調停による場合は、家庭裁判所の「婚姻費用算定表」に従って、算定されることがほとんどであり、子どもの人数や年齢、夫婦それぞれの収入などの条件により、婚姻費用の金額が変わってきます。

5.裁判所に調停を申し立ててすぐに婚姻費用をもらえますか・・?今すぐもらえないと生活できません。

早急に相手に婚姻費用を払ってほしいところですが、調停の申立から終結までは、数ヶ月の時間がかかります。

ですから、申立時に、今月分の生活費を○月○日までに払って欲しいと書面で主張し、調停の中で、早急な婚姻費用の支払を調停委員と相手に認めてもらえるよう、調停を進めて行く必要があります。

三輪知雄法律事務所が取り扱った事例では、これまで婚姻費用の支払に応じてもらえなかったものの、調停の初回期日において、婚姻費用の一部を支払ってもらう合意を成立させ、即日(調停期日の翌日に)依頼者に支払が行われた事例もございます。

6.調停で話し合いが成立しない場合、婚姻費用は「審判」で決まる!

婚姻費用分担の調停期日を重ねても合意が成立しなかった場合には、調停は「不調」ということで終了しますが、自動的に「審判手続」に移行します。

審判手続になると、調停のような話し合いとは異なり、裁判官が証拠に基づいて判断し、妥当な婚姻費用を「強制的に」決めることになります。

7.三輪知雄法律事務所に依頼するメリット

お互いに、婚姻費用について冷静に話し合いができない場合や、連絡すら取りたくない場合など、早く決めて次に進みたいのに進めないというもどかしい状況を打開するには、弁護士などの専門家に依頼するのが近道だと思います。

弁護士は、交渉から調停までの全てを依頼者の代理人として、相手とやり取りを行いますので、依頼者が相手方と直接話す必要がありません。

相手に請求する婚姻費用算定の前提資料として、必要な生活費の計算や、依頼者の主張をまとめた書面等、面倒な書類作成は弁護士が行います。

「相手は口が達者で調停委員が丸め込まれてしまうかもしれない」といった心配も、弁護士を立てれば安心です。
弁護士は、相手に流されることは決してありませんし、客観的な事実を基に、依頼者の意向に沿って話しを進めて行けるからです。

考えがまとまらない、どんな行動を起こせばいいか分からないといった状況でも、一度ご相談ください。
三輪知雄法律事務所では、お話しを伺った上で、依頼者にとって最善の解決方法を提案します。

8.婚姻費用の請求に強い三輪知雄法律事務所の弁護士へのお問い合わせ

婚姻費用の請求に強い三輪知雄法律事務所の弁護士へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00〜18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

※この記事は公開日時点の法律をもとに作成しています。