養育費 モラハラ 民事執行法改正 弁護士 三輪知雄 金山

1 養育費とは・・

養育費の意味

養育費とは、子供を監護・教育するために必要な費用です。
子が経済的、社会的に自立するするまでに要する費用で、具体的な中身としては、生活に必要な経費、教育費、医療費などが、それに該当します。

養育費は、一般的には、子が20歳になるまで支払う場合が多いですが、法律的な決まりはありません。
ケースによっては、22歳までとか、「大学・専門学校の卒業まで」というような内容で定めることになります。

養育費の支払義務は、自己破産した場合でも、負担義務がなくなる(免責といいます)ことはありません。特別の合意がない限り、「余裕がないから支払えるときに支払う」といったことは許されません。

※ただし、養育費の支払義務がある者が、生活保護を受ける場合などは、別途検討が必要と思われます。

民法においては、離婚の際に夫婦が取り決める事項として面会交流及び養育費の分担をすることが定められています。

一般に言われる養育費請求とは、「母親が、父親に対して子供の養育費を請求する」というイメージが強いかもしれませんが、本来の養育費請求権は、子供が親に扶養を求める権利ですので、子供の請求権となります。

養育費はどのようにして決まるの?

養育費の決め方には、大きく分けて次の4通りの方法があります。

養育費の決め方 4パターン

①口頭での合意
②夫婦間で話し合い、書面(離婚協議書)を作成
③公証人役場で公正証書を作成
④家庭裁判所の調停手続で定める

①口約束で決まる場合

「離婚の際に口約束で決めた」というのがこのケースです。
当事務所の法律相談でも、夫婦間の口約束で養育費を決めたケースを多く見聞きします。

もちろん、口約束も約束として有効であり、手間がかからないというところがメリットですが、反面、デメリットは、途中で連絡が取れなくなったり、支払が滞るなど、いざという時に、言った言わないで争いになるなど、後日、トラブルの原因になりやすいという点が挙げられます。
また、法的な請求を起こす際に、口約束の証明が困難であるため、請求の根拠にしくい点もデメリットとなります。

したがって、最低でも②の文書作成、そして、養育費の回収、取り立てまで意識するのであれば、③公正証書での作成を強くお勧めいたします。

②夫婦間で話し合い、書面(離婚協議書)を作成する場合

夫婦間で書面を作成した場合には、①口約束で決めた場合のように、後日、言った言わないで争いになることはありません
万一、支払が滞った場合には、文書を根拠に、弁護士に依頼して相手方に請求を起こしたり、場合によっては、裁判所に調停を申し立てることもできます。

しかし、後で述べるとおり、そのままの合意書(離婚協議書)だけでは、裁判所による「情報取得手続」を利用することはできず、改めて養育費請求調停などの申立てが必要になります。

③公正証書を作成する場合

夫婦間の合意内容を、公証人役場にて「公正証書」という文書にした場合は、②の夫婦間の文書よりもさらに強い効果が期待できます。

効果1:

第三者(公証人)が文書を作成するため、文書を紛失したり、変造される危険がなく、条項や文言の解釈に争いが生じる可能性がほぼない

効果2:

支払が滞った場合、公正証書は裁判手続を経ることなく、差し押さえが可能。民事執行法の改正により、養育費の取り立てがしやすくなった!

効果1:
第三者(公証人)が文書を作成するため、文書を紛失したり、変造される危険がなく、条項や文言の解釈に争いが生じる可能性がほぼない

公正証書は、公証人という第三者が、双方から合意の内容を聞いて作成し、原本は公証人役場に保管されます。
したがって、文書を紛失してしまう危険はありませんし、文言や条項の解釈をめぐって、お互いの意見が食い違うという可能性も少ないといえます。

なお、公証人との連絡、調整に不安を感じる方は、当事務所に依頼し、夫婦間で取り決めた内容を文書化した上で、公証人との連絡を行うことも可能です。

効果2:
支払が滞った場合、公正証書は裁判手続を経ることなく、差し押さえが可能。民事執行法の改正により、養育費の取り立てがしやすくなった!

万が一、養育費の支払が滞った場合に、②の夫婦間で作成した文書(離婚協議書)であれば、いきなり相手方の財産を差し押さえることはできません。

まず、弁護士に依頼して、差し押さえの前に、相手方に請求し、相手方が応じない場合には、改めて調停や訴訟を起こし、勝訴しないと、相手方の給与や財産の差し押さえができません。

これに対し、公正証書(「執行受諾文言」のあるものに限ります)の場合は、裁判手続を経ることなく、差し押さえが可能となります。

この点は、下記の3民事執行法改正により、未払の養育費が回収、取り立てやすくなる!?にて詳しく説明します。

④話し合いで決まらない場合・・家庭裁判所での調停で定める

夫婦間の話し合いで、養育費が決まらない場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を起こすことになります。

「調停」とは、家庭裁判所での話し合いをベースとした手続のことをいいます。

双方が同じ期日に家庭裁判所に出席し、お互いが別の待合室で顔を合わせないように待機し、交代で裁判所の調停委員に事情を話して、双方が納得がいく解決を目指すというものになります。

2 養育費を決めたはいいが、支払われないことが多かった・・

よくあるご相談例

・離婚後、数ヶ月経つと養育費の入金がなくなった。
・相手が会社を辞め、勤務先が分からない。
・電話にも出てくれず、LINEも既読にならず、連絡が取れない。

最近非常に多いのは、離婚の際、養育費を決めたのはいいが、全く支払が受けられていない・・・というご相談です。
「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、離婚した父親から養育費の支払を受けていると答えた母子世帯は、わずか20%程度に留まるとされています。

上記のように、養育費を受け取りたくても、相手との連絡すら取れなくなるといったケースは多いです。

そして、今までの法律では、預貯金や給与を差し押さえるには、自力で、相手の口座がある金融機関の支店名や勤務先を特定することが求められていました。

そのため、連絡すら取れない相手の個人情報を知ることはほぼ不可能に近く、養育費を差し押さえることは非常に困難で、差し押さえ自体を、諦めてしまう人も多かったといえます。

3 民事執行法改正により、養育費が取り立てやすくなる!?

2020年には、安倍首相は「貧困対策は未来を担う子どもたちへの投資」と繰り返し述べ、政府は、養育費が支払われない現状への対策推進を掲げました。

当面この流れは続くものと推測されます。
そのような背景の中で、民事執行法の改正が行われ、2020年4月1日から施行されました(※1)。

具体的には、裁判所を通じて、市区町村や銀行に照会ができる「第三者からの情報取得手続」が始まります。

これにより、養育費を決めたものの、支払われないままになっていた養育費の取り立てが進むものと思われます。

この手続の特徴として、次の4つの点が挙げられます。

※1
養育費について取り決めた時期が、法改正前(2020年4月1日以前)か法改正以降かには関係なく適用されます。

※2 
ただし、養育費について取り決めをした公正証書(強制執行認諾条項付き)、調停調書、和解調書、判決書などがあることが前提となります。
このどれかがないと手続を取ることはできず、例えば、当事者間で交わした合意書や離婚協議書では手続することができません。

改正点1:

養育費を支払わない相手方の勤務先の情報を開示させることができるようになった

改正点2:

養育費を支払わない相手方の預貯金等の有無、支店名、口座番号、残高等の情報を開示させることができるようになった

改正点3:

養育費を支払わない相手方の株式などの情報を開示させることができるようになった

改正点4:

養育費を支払わない相手方の「不動産」に関する情報を開示させることができるようになった。

改正点1:
養育費を支払わない相手方の勤務先の情報を開示させることができるようになった

裁判所の情報提供命令を通じて、相手方の勤務先が分からなくても、市区町村・年金事務所に、現在の勤務先を照会することが可能になりました。

→これにより、給与の差し押さえのために必要な給与債権の特定が可能になります。

改正点2:
養育費を支払わない相手方の預貯金等の有無、支店名、口座番号、残高等の情報を開示させることができるようになった

裁判所の情報提供命令を通じて、相手方の預貯金の口座情報を、金融機関に照会することが可能になりました。

→これにより、口座の差し押さえのために必要な、預貯金口座の特定が可能になります。

改正点3:
養育費を支払わない相手方の株式などの情報を開示させることができるようになった

相手方が、証券会社の管理口座にて株式や投資信託などを保有している場合、証券保管振替機構に問い合わせをし、相手が保有している株式などの資産の詳細を明らかにすることが可能になりました。

改正点4:
養育費を支払わない相手方の「不動産」に関する情報を開示させることができるようになった。

法務局に、相手方が不動産(土地や建物等)を持っているか否かや場所などの不動産の情報を照会し、特定することが可能になりました。

4 養育費を決めずに離婚してしまいましたが、今からでも何とかなりますか・・?

離婚時に、養育費はいらないと言って、養育費の取り決めをしなかった場合でも、離婚後に養育費を請求することはできます。

ただし、調停手続などにおいて、実務上、全ての不払分が請求できるわけではありません。

養育費の請求ができるのは、原則請求した時点から

原則として、養育費の支払いが認められるのは、養育費を請求した時点以降の分のみです。

過去に遡って請求というのは、認められないことがほとんどですので、できる限り早く弁護士に相談して、対応を検討されることをおすすめします。

養育費の支払を受けるには、まずは取り決めが必要です

「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子家庭で、養育費の取り決めをしているのは、半分にも満たない43%です。

養育費が支払われなくなった時に、不払いの養育費を取り立てるには、まずは、相手との間でしっかりとした取り決め・約束が必要になります。

養育費を取り立てるためには、お互いで作成した文書では要件を満たしません!
公正証書や調停調書などが必要になります!!

この取り決め・約束について、「口頭での約束しかないが、お互いが納得して決めているから問題ない」、「離婚の際に頼んだ弁護士さんに合意書を作ってもらってるから大丈夫なはず」、このような声をよく耳にします。

しかし、そのような任意の形式の取り決めや約束では、いざという時に、相手方の勤務先を開示させたり、養育費を取り立てることはできません。

裁判所を通して行う「第三者からの情報取得手続」を行うには、養育費について取り決めをした公正証書(強制執行認諾条項付)、調停調書、和解調書、判決書などが必要です。

5 長年連絡を取っていないので、相手は行方不明です・・そんな場合でも利用できますか?

相手方の行方に全く手がかりがない行方不明の場合には、そもそも、情報提供の対象となる市区町村が特定できないため、この制度は利用できません。

ただし、「行方不明」と一言で言っても色々あります。
LINEや電話が全くつながらない場合、いつ行っても留守で所在が不明な場合、引っ越してしまって行き先の心当たりがない場合、色々なケースが考えられます。

このように一言で「行方不明」といっても色々ですので、まずは、弁護士に相談してください。

そして、弁護士に依頼し、相手方の住民票を取得するなどして、相手方が本当に「行方不明」なのか、きちんと調査してもらうことが大事です。

6 三輪知雄法律事務所では、民事執行法改正による養育費の取り立てを全面的にサポートします

当事務所では、未払の養育費の回収、取り立てに関する相談、相手方の所在調査、財産に関する情報取得手続の申し立て、差し押さえなどの強制執行、事務所管理口座を利用した養育費の現実の回収・取り立てまで、全面的にサポートをさせていただきます。

まずは一度、お気軽にご相談ください。

7 未払養育費の回収、取り立てに強い三輪知雄法律事務所の弁護士へのお問い合わせ

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