事故により意識不明となった夫と裁判離婚し、養育費月9万円と財産分与650万円を得た事例|三輪知雄法律事務所

1 相談者様の性別、年代、ご要望等

相談者様の性別、年代、ご要望、争点等

・相談者様妻(20代女性)
・夫
事故により5年以上、意識不明(遷延性意識障害)
・親権:子ども3名(6歳、7歳、9歳)
・養育費
・財産分与:生命保険金
・夫には、成年後見人(弁護士)が就いている

2 ご相談内容

(1)三輪知雄法律事務所に相談前の状態

相談者様の夫は、交通事故の受傷により「遷延性意識障害」との診断を受けました。以来、5年間、寝たきりで意識不明の状態が続いています

夫には、裁判所によって選任された弁護士が成年後見人に就き、事故の賠償については、相手方との和解は成立しているとのことでした。
相談者様は、成年後見人が管理する夫の口座から生活費を毎月受領して、生活しています。

当初は、相談者様が夫の介護をしておりましたが、3人の子ども達の世話をしながらの介護は過酷であり、徐々に相談者様自身が疲弊していくこととなったので、数年前から、夫の介護は夫の両親に代わってもらうようになりました。

相談者様としては、言葉を交わせない夫と婚姻関係を続けていくことが、子ども達にとって幸せになのかについて考えるようになりました。

そして、「意識不明の夫との離婚がそもそもできるのか」、「できるとしてどのような方法があるのか」を知るため、三輪知雄法律事務所へ相談にいらっしゃいました。

(2)三輪知雄法律事務所に法律相談後、解決内容

「意識不明の夫と離婚する方法」について

三輪知雄法律事務所へ法律相談に来ていただき、婚姻~現在の経緯や生活についてヒアリングを行い、本件の場合、離婚訴訟(裁判)を起こす必要があるとのアドバイスを行いました。

離婚を希望しているものの、配偶者の同意が得られない(=協議離婚できない)場合、通常は離婚調停を申し立てます

しかしながら、本件のように、配偶者が離婚の意味などを理解できない場合には、調停ではなく、配偶者の成年後見人を相手に離婚訴訟をすることになります(人事訴訟法第14条1項)。

なお、奥様自身が夫の成年後見人である場合は、成年後見監督人を相手に離婚訴訟を提起することになります(同2項)。

今回の場合、意識不明の夫には、弁護士が成年後見人に就いていますので、その弁護士を被告として、離婚訴訟をすることとなります。

成年後見人が弁護士ということもあり、相談者様の側も弁護士を立てることをお勧めしたところ、相談者様は、裁判と聞いて不安になっておられました

相談者様は、「意識不明状態の夫の介護を放棄し、女性としての幸せを求めることを優先した」などと、マスコミや世間、裁判所から非難を浴びるのではないか、それにより、「学校で子どもたちがいじめられるのではないか」などと、ご心配が尽きないようでした。

相談者様は、不安のあまり涙ぐまれることもありましたので、三輪知雄法律事務所の担当弁護士より、時間をかけて何度も打ち合わせを行い、以下のような内容をお話しするうちに、徐々に不安を取り除かれ、当事務所に依頼することとなりました。

  • 離婚に関しては、多様な価値観があり、意識不明状態の夫を今後、数十年間、支えるというのも一つの価値観である一方で、結婚当時と状況が著しく異なっている以上、離婚を選択することも一つの価値観であること
  • 夫の介護については、義父母や専門の施設でも対応できる一方で、自分の仕事、日常生活と3人の子どもの養育は、誰かに代わってもらえるものではないこと。
  • 離婚という制度があり、意識不明や行方不明者との離婚についても、裁判等を通じての離婚が法により認められている以上、それを利用することについてとがめられるものではないこと
  • 相談者様はまだ20代と若く、再婚の可能性もあるうえ、これまでの結婚生活より、今後、自分の意思で決めていかねばならない人生の方がはるかに長いと考えられること。
  • 相談者様の職業や夫の立場等を考慮すれば、離婚の裁判がマスコミ等に報道される可能性は限りなくゼロに近く、世間や子どもの学校関係者に知られる可能性もないこと。
  • 離婚しても、夫と子どもたちの面会は可能であること。
  • 裁判は、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が代理で行うため、相談者様が対応することはほとんどないこと。

離婚訴訟と離婚調停の手続き上の違い

  • 1月に1回ペースという手続の頻度としては、裁判と調停に大きな違いはありません
  • 話し合いや歩み寄りが前提とされる調停とは違い、裁判においては、法律に基づいた主張をしたり、客観的証拠を提出し、事実関係を明確にさせたうえで、裁判所判決という形式で判断を下します。
  • よって、証拠収集法律知識が必要となりますし、相手方の主張に対して、効果的な反論をする裁判経験も必要となります。
  • 離婚調停では、原則として、相談者様にも調停へ同席していただきますが、離婚訴訟では、代理人である弁護士が代わりに出頭します(相談者様に同席いただくことも可能です)。
  • 相談者様が裁判へ赴く必要がなくなるため、弁護士に依頼したほうが時間の節約になります
  • 担当弁護士が裁判に出席し、主張や反論を行います。相手方の主張については、担当弁護士が分析したうえで、随時メールやお手紙にて相談者様へ報告します。
  • 必要に応じて、当事者に出頭してもらい、相手方や裁判官から質問を受ける、「本人尋問」という手続きが行われることもあります(なお、この件では、相談者様の本人尋問は行われていません)。
  • 担当弁護士が、質問に対する受け答えの想定や相手方への質問事項を作成しますので、緊張せずに構えてください。
  • 裁判離婚自体は、お互いが納得できれば和解が成立する可能性もありますが、裁判所が判断を下すことができるまで主張や証拠の提出を繰り返すため、調停と比べて長期化する傾向があります(なお、この件では、夫側が意識不明状態のため、和解の可能性はありませんでした)。

担当弁護士が代理人に立ち、離婚裁判で請求したこと

本件の離婚訴訟における、相手方への請求内容は以下のとおりです。

  1. 夫と離婚すること
  2. 子ら3人の親権者を相談者様とする
  3. 子らの養育費
  4. 財産分与

離婚裁判での請求に対する結果

1.夫と離婚すること

まず、夫の状況意思疎通困難であり、回復の見込みがないと医師からも言われている)を「婚姻を継続し難い重要な事由」(民法770条1項5号)とし、離婚が認められるべきと、担当弁護士から裁判所へ主張しました。

上記の主張に対して、相手方である成年後見人としても、離婚することについて争いはないとのことでした。

2.子ら3人の親権者を相談者様とする

親権者について、成年後見人としては争う姿勢でしたが、反論の材料がないとのことで、裁判所は、原告である相談者様を親権者として定めました。

3.子らの養育費

当初、成年後見人は、夫に給与収入がなく、今後も治療費や介護費が必要となるという理由で、養育費の支払いを拒みました。

しかし、相談者様には子らの監護・養育があり、フルタイムの仕事に専念できる状態ではないことや、夫は年金を受給しているほか、先の交通事故の和解にて、逸失利益の算定についても認定されていること、事故によって意識不明になったからといって、養育費の支払義務がなくなるわけではないこと等、担当弁護士より粘り強く裁判所へ主張しました。

最終的には、子ら3人の養育費として、合計月9万円が認められました。

4.財産分与について

ここからは、財産分与についてご説明します。

▼なお、三輪知雄法律事務所の財産分与に関するサポートや取扱事例については、以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください▼

夫の財産を開示請求

相談者様よりお話を伺ったところ、事故後、成年後見人である相手弁護士が、夫の財産を管理するようになったため、夫の現在の資産状況は分からないとのことでした。

そこで、成年後見人に対し、夫の資産状況を開示するよう、書面にて主張しました

夫の通帳を開示させ、担当弁護士にて確認した結果、「夫が勤務先で加入していた保険から支払われた保険金」については、財産分与の対象になり得ると考えました。

すなわち、事故の受傷により受け取った保険金について、夫の給与で保険料を支払っていた場合、婚姻中に夫婦の協力により取得した財産とみなされ、夫婦の共有財産となる可能性があります。

本件の場合、相談者様の手元に保険に関する資料がなかったため、担当弁護士が裁判所を通じて夫の勤務先へ調査嘱託を行い、保険の契約内容を開示させました

照会の結果、やはり、給与の天引きで保険料を負担していた保険であることが分かりました。

そこで、保険金の性質としては、夫の高度後遺障害に対する補填であるものの、保険料が給与から支払われていることから、妻である相談者様の寄与度を主張し、保険金の財産分与(650万円)を認めさせることができました。

判決により離婚を成立させ、相談者様はまとまった金額を手に入れることができた

結果としては、離婚を成立させ、子ら3人の親権養育費合計月9万円財産分与として650万円を獲得する判決(裁判所の判断)が言い渡され、確定しました。

相談者様は、夫がいない状態で、子ら3人をどのように育てて行けば良いのか不安に感じていましたが、まとまったお金と養育費を得ることができ、新しい人生について前向きに考えることができるようになったと仰っていました。

以上の財産分与やその他の金銭支払については、家庭裁判所が言い渡す判決に、法的に有効な効力を持つ条項として(判決主文)記載がなされました。

なお、本件については、本人尋問は実施されず、相手方からの控訴(第一審の判決を不服とし、上級裁判所に審理のやり直しを求めること)もありませんでした。

3 解決期間と弁護士費用の目安

ご相談の事例において、解決まで要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用は以下のとおりとなります。

解決まで要した期間と弁護士費用

○ご相談から離婚成立までの期間:約8ヶ月程度

○三輪知雄法律事務所の弁護士費用
 ・着手金:30万円
 ・報酬:125万円程度
 (基本報酬+解決金の10%+獲得した養育費の3年分の10%)

※税、実費等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、個別の案件やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

4 三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

弁護士 三輪知雄 写真


三輪知雄法律事務所 
担当弁護士:三輪 知雄

出身地:名古屋市。出身大学:京都大学法科大学院。主な取扱い分野は、離婚事件、企業法務、倒産事件、相続事件。

交通事故だけではなく、病気や自殺未遂等で夫が意識不明となり、意思疎通ができなくなった場合、離婚届を役所に提出しても受理されず、また、話し合いもできないため、離婚調停ではなく、離婚訴訟を起こすことになります

なお、意識不明の夫に成年後見人が就いていない場合、家庭裁判所へ成年後見人の選任申立を行う必要があり、離婚成立まで時間を要することとなります。

離婚訴訟自体は、個人でも提起することができますが、専門知識や経験に基づいた適切な主張をすることが重要になります。立証資料の収集、調査等の準備も必要です。

知識がないまま、個人で裁判に臨まれた場合、奥様にとって不利な結果(離婚そのものが認められない・養育費や財産分与が認められない等)に終わってしまう可能性もありますので、離婚について悩まれることがある場合、ぜひ一度、法律相談にお越しください。相談者様やお子さん、ご家族にとって最適なアドバイスをさせていただきます。

なお、当事務所では離婚成立後の事務手続き(離婚届の提出方法・氏の変更方法のご説明、各種名義変更のお手伝い等)についても、一部サポートさせていただいております。不安に思うことがあれば、離婚後もご気軽にご相談ください。

5 三輪知雄法律事務所の意識不明、離婚訴訟の対応に強い弁護士へのお問い合わせ

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