【離婚調停】離婚調停成立後に調停調書の正本は必ず送達しておく必要があります

離婚調停が終了し、無事、離婚が成立しました。
お金の件も、慰謝料、財産分与、子どもの養育費の支払の取り決めもできました。
しかし、取り決めどおり、相手方が慰謝料、財産分与、そして、最後まで養育費を支払ってくれるかは分かりません。

万一、相手が途中から養育費を支払ってくれなくなった時のために、離婚調停成立後に必ずしておかなければならないことがあります。

それは、「当事者双方への調停調書正本の送達送達証明書の取得です。

1.調停調書とは?

調停調書は、調停成立後に裁判所によって作成されるもので、調停内で合意した内容が記載されたものです。
調停調書の作成は、申請をしなくても、家庭裁判所が自動的に行ってくれます。

調停調書に記載された内容は、裁判所で合意された内容である以上、双方にその内容を守る義務が発生します。

したがって、万一、相手が養育費の支払いをしないなど調停調書に記載された内容を守らなかった場合には、差し押さえなどの強制執行手続により、合意内容を強制的に履行させることができます。

2.強制執行には、調停調書の「正本」が必要!

よくあるご相談ですが、離婚調停から数年たち、相手から養育費の支払いがなくなってからはじめて調停調書を見直した、と連絡を頂くことがあります。

相手方が支払に応じてくれない場合には、裁判所による差し押さえなどの手続が必要となりますが、その際、その調停調書を利用します。

強制執行手続に必ず必要なのが、以下の「調停調書正本」と「送達証明書」という2点の書類となります。

必要書類2点

必要書類1:調停調書正本

必要書類2:送達証明書

必要書類1:調停調書正本

離婚調停後、調停調書の作成は、当事者が申請をしなくとも自動的に作成されますが、調停調書正本の送達(=裁判所が調書を適法に送り届けること)は、申請をしなくてはなりません(※)。

※申請をしなくても、正本の送達を行ってくれる家庭裁判所もありますので、詳細は、家庭裁判所にご確認ください。

申請書は、裁判所のホームページなどにも掲載されております。必ず、調停調書の正本を、当事者双方に送付する(送達)するという内容で申請してください。

調停調書の「謄本」では、要件を満たしません

よく調停調書の「謄本」では要件を満たさないのかと質問を受けることがありますが、謄本では、強制執行手続ができません。
謄本とは、原本の全部を写した文書であって、写しに過ぎないため、調停の合意の中身を確認することはできますが、強制執行には使えません。

ですから、謄本ではなく、正本を手元に置いておく必要があるのです。

では、調停成立後、なぜ、正本の送達をしておかなければならないのでしょうか?

調停成立から数年経ったとしても、裁判所に正本送達の申請はできます。しかし、何年も経っていれば、相手方が転居していたりして、従前の住所では、送達されない(適法に届かない)可能性があります。

連絡先も知らない相手方の住所を調べることは、手間も時間もかかりますし、仮に相手方の住所を突き止めても、仕事も変わっており、1日中家に不在がちで、何度か送らないと受け取らないということもあります。

相手方の住所が判明すれば、最終的には送達されます。しかし、養育費などの支払が止まり、一刻も早く不払となった養育費の取り立て・回収手続に入りたいところで、このような時間的なロスはできる限り回避したいところです。

したがって、一刻も早く、差し押さえなどの強制執行手続を開始するためには、調停成立後で相手の住所が明らかなうちに、調停調書の正本の送達をしておくべきなのです。

必要書類2:送達証明書

送達証明書とは、正本が相手方に届いていることを証明する文書のことです。強制執行手続には必ず必要なもので、申請しなければ受け取れません。

ですから、調停調書正本の送達申請と同時に送達証明書の交付申請をしておくのがよいでしょう。

3.不払養育費の回収・取り立て・差し押さえについて、三輪知雄法律事務所でできるサポート

離婚調停が成立したとしても、相手が必ず約束を守ってくれるとは限りません。
養育費の受取は子どもの権利ですから、必ず最後まで受け取れるよう、親が準備をしておくことが大切です。

三輪知雄法律事務所では、離婚調停申立から、離婚調停が成立した後、調停調書の約束事項が全て履行されるまで、万一、相手が約束を守らなかった時の強制執行手続まで全面的にサポートします

また、調停は既に成立しているが、何年か経過した後、養育費の支払いがなくなったといった場合には、養育費の回収を三輪知雄法律事務所に依頼することも可能です。
まずは一度、お気軽にご相談ください。

なお、2020年4月に民事執行法などが改正され、裁判所の強制執行手続を利用して相手の銀行口座を差し押さえたり、相手の給料を差し押さえることにより、養育費の取り立て・回収がしやすくなりました。
それに関しては、下記の記事をご参照ください。

【養育費】民事執行法改正により、未払の養育費の”取り立て”、”回収”がしやすくなります!

4.離婚や不払養育費の回収、取り立てに強い三輪知雄法律事務所の弁護士へのお問い合わせ

離婚や養育費の回収、取り立てに強い三輪知雄法律事務所の弁護士へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00〜18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

※この記事は公開日時点の法律をもとに作成しています。