【相続財産調査】【預貯金の無断引き出し】亡くなった父の相続財産の調査を弁護士に依頼した結果、使途不明な出金が判明し、隠していた遺言が開示され、遺留分の請求に至った事例
1.相談者様の年代、性別、ご要望等
- 50代
- 女性
- パート
- 被相続人:相談者様の父
- 相続人:相談者様の母、相談者様の姉(長女)、相談者様(二女)
- 父の死後、母から、「預金は生前に使ってしまい、葬儀費用に充てたらほとんど残らなかった。遺言書もない」と言われた
2.ご相談内容
相談者様は、2歳年が離れたお姉様と2人姉妹でした。
相談者様は結婚後、家を出ており、実家では、父と母、そして姉が3人で暮らしていました。
相談者様と父・姉との関係は良好でしたが、母との折り合いが悪く、相談者様は、長年、実家に帰ることがありませんでした。そのうち、父は認知症になってしまいました。
ある日、実家より、父が病気で亡くなったとの連絡がありました。生前、父は、定年まで大手企業に勤めており、節約家で、かなり貯蓄していた記憶です。株式も持っていると言っていたため、相談者様は、幾分かは遺産を相続できると思っていました。
しかしながら、四十九日の後、母より、「預金は生前に使ってしまい、葬儀費用に充てたらほとんど残りはなかった。遺言書もない」との連絡を受け、相談者様は大変驚かれました。節約家の父の思い出しかなかった相談者様は、母の言葉をそのまま信じることができませんでした。
相談者様は、母が父の「遺産はない」と嘘をつき、財産を隠しているか、生前に預金を使い込んだことを疑ったものの、今後の対応についてどうすべきなのか、分かりませんでした。相談者様の希望としては、母との関係は悪いが、姉とはそこまで険悪な仲でないため、今後の母の世話や介護を考えると、姉とは表立って争いたくありませんでした。
そこで、相続人として、自身で財産調査を行おうと思い、心当たりのある金融機関に問い合わせてみましたが、煩雑な手続を案内されたり、取引履歴を取り寄せることができたとしても、膨大な量で、精査が難しく、困ってしまいました。
そこで、インターネットで「相続財産 調査」などで検索し、三輪知雄法律事務所のホームページを見つけ、メールフォームより問い合わせをしたところ、担当弁護士より返信メールがあり、希望日時に相談予約が取れたことから初回相談にいらっしゃいました。
3.法律相談後の経過
(1)相続財産の調査の依頼
初回の法律相談(無料相談)でこれまでの経緯を詳しく伺いました。
相談者様としては、いきなり母や姉と対立するのではなく、まず相続財産の調査を行い、本当に父の遺産がないのか、父の生前に不正な出金や預金の使い込みがなかったかどうか確認したいとのことでしたので、弁護士を立てての遺産分割や遺留分交渉という形ではなく、「相続財産の調査」について当事務所に依頼する形となりました。
同日、担当弁護士より費用や見通しをご説明のうえ、委任契約書及び委任状の取り交わしを行いました。
(2)弁護士が抜け漏れがない相続財産の調査を行います
ご自身で相続財産の調査をされる場合、役所で被相続人の出生から死亡までの全戸籍を収集するところから始まり、銀行窓口に行き、残高証明や取引履歴の取り寄せ手続をすることになります。また、取引履歴の発行枚数によっては、膨大な手間や費用を要することもあります。
一方、弁護士は「弁護士会照会」といった制度を利用することができ、弁護士が代理人として戸籍の収集、弁護士会を通じて金融機関への残高証明や取引履歴の照会手続を行うことができますので、状況によっては、ご自身で取り寄せるより、長い期間の調査や抜け漏れがないように調査できる可能性があります。
また、相続財産調査や遺留分侵害額請求に精通した弁護士が、取引履歴等の精査を行い、不正出金や特別受益の疑いがないか、十分な検証を行います。
(3)入出金履歴の調査、出金額の確認
本件においても、被相続人が生前使用していた口座など、複数の金融機関に対し、過去の取引履歴の開示を求めました。
ご依頼を受けてから、取引履歴の開示が行われるまでは、1~3ヵ月程度掛かります。
また、金融機関ごとの照会となりますので、生前、被相続人が使っていた金融機関が分かっていると、調査がスムーズです。
合わせて、担当弁護士により被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せ、弁護士及び事務所スタッフにおいて相続関係図を作成し、相談者様に交付しました。
(4)弁護士による相続財産調査の結果、生前に数百万円のまとまった出金が確認された
金融機関に対し、過去10年分の取引明細を取り寄せ、検証したところ、相談者様が把握していた金融機関以外にも、被相続人名義の口座があることが判明し、そちらの金融機関へも取引履歴の取り寄せを行いました。すると、父の死亡の数年前から死亡日にかけて、立て続けに数百万円が出金されていることが判明し、それらの出金の使途も不明なことから、これらの出金が父に無断でなされた可能性も考えられました。
担当弁護士及び事務所スタッフにおいて、生前の被相続人の生活状況等から必要性がないと判断される出金について検証を行い、預金からの出金額(使途不明金)をふまえた遺産目録(財産目録)を作成し、相談者様にご説明するとともに、お渡し致しました。
相談者様は、これらの調査結果及び遺産目録を母及び姉に提示することにしました。
(5)調査結果を受け、遺言書の「開示」がなされた
相談者様において、当事務所の調査結果及び遺産目録を母及び姉に提示したところ、母は、「実は、父の遺言書がある」と言い出し、遺言書を提示してきました。
どうやら、母としては、あらかじめ口座からまとまった金を出金しておいて、相談者様には「遺産はない」と言い、相談者様に遺留分の請求をさせないつもりでしたが、相談者様が弁護士に相談し、財産調査を行ったことにより、遺言書の存在を隠し続けることの方が不利になると判断したようでした。
遺言書は、全ての財産を母に譲るという内容であり、今後はご本人から母に対し、遺留分の取得について交渉していかれるとのことでした。
4.解決までに要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用
三輪知雄法律事務所が解決までに要した期間と弁護士費用は以下のとおりとなります。
解決までに要した期間と弁護士費用
○ご相談から解決までの期間
:約3ヵ月程度
○三輪知雄法律事務所の弁護士費用
・着手金:16万5000円(※相続財産調査のみ。交渉・調停を依頼される場合、追加着手金が発生します。)
・調査にかかる実費、銀行の手数料等:6万円程度(本件は、相続人2名。金融機関5行)
※消費税込の金額。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、個別の案件やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。
5.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント
三輪知雄法律事務所
担当弁護士・税理士:三輪 知雄
出身地:名古屋市。出身大学:京都大学法科大学院。
主な取扱分野は、遺産分割・遺留分の問題、立ち退き、使用貸借トラブル、企業法務、相続税の税務調査対応など。
相続財産に関する相続人の説明が信じられないが、弁護士をすぐには立てたくない方へ
被相続人が生前、貯蓄していたはずなのに、「預金は生前に使ってしまい、葬儀費用に充てたらほとんど残らなかった。遺言書もない」と、被相続人の同居の相続人や家族から言われる事例は少なくありません。実家を出ていたり、遠方に住んでいたりすると、確認のしようがなく、同居の相続人や親族の言われるまま、遺産はなかったものと思い込まされてしまうかもしれません。
今回の相談者様のように、突然、同居の相続人や親族から、「遺産はほとんどない・・・」というようなことを言われても、そのような説明は信じられないし、一方で、いきなり弁護士を立てて関係が悪くなるのは嫌だ・・・そのようなお気持ちも十分に理解できます。
しかし、一人で悶々としていても何も解決しません。いきなり弁護士を立てるのではなく、まずは、弁護士に相続財産の調査を依頼し、同居の相続人の説明内容を検証すれば、その悶々とした気持ちもすっきりするのではないでしょうか。弁護士による調査の結果、同居の相続人の説明内容が正しければそれを受け入れるほかありませんし、弁護士による調査の結果、親族の説明が事実と異なっていた場合には、その後の相続人との話し合いをどのように進めたらよいかについても、弁護士と相談することが可能です。
親族との交渉を弁護士に委任することも可能ですし(※追加の着手金が発生します)、もちろん、本件の相談者様のように弁護士による調査結果を提示して親族と自分で交渉することも可能であり、それにより、親族の出方が変わることも十分考えられます。
なお、遺留分の請求には、相続開始から1年という時効があります。早めのご相談をご検討ください。
遺留分の請求について三輪知雄法律事務所の解決事例
三輪知雄法律事務所には、遺産・相続財産調査や遺留分請求の経験と知識がある弁護士が所属しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
6.遺産・相続財産の調査の対応に強い三輪知雄法律事務所へのお問い合わせ
「遺産・相続財産の調査の対応に強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
※この記事は公開日時点の法令等をもとに作成しています。
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