【預金の無断引き出し】【使い込み】【遺留分請求】弁護士による相続財産調査の結果、相続人の1人が預金を生前に使い込んだ可能性が発覚し、生前の不正出金分も含む遺留分として、2000万円を獲得した事例
1.相談者様の年代、性別、ご要望等
- 50代
- 女性
- 主婦
- 被相続人:相談者様の父
- 相続人:相談者様の姉(長女)、相談者様(二女)
- 遺言書あり
- 被相続人名義の預金を無断で引き出し、使い込んだことが疑われる
- 姉との関係が良くないため、相続税の負担や今後、一切の親戚付き合いがない形で、適切な遺留分額を受領したい
2.ご相談内容
相談者様は、3歳年が離れたお姉様と二人姉妹でした。
お互い結婚をされ、実家を離れて生活をしていましたが、相談者様のお母様が体調を崩し、長期入院をすることになりました。
そこで、急遽、一人暮らしをすることになった高齢のお父様を心配したお母様から、姉妹どちらかが実家に戻ってきてほしいと話があったそうです。
相談者様は実家から離れた土地で生活されており、夫の仕事の都合もあったため、すぐに引っ越しをすることは難しく、お姉様が実家に戻り、お父様と暮らすことになりました。
ほどなくしてお母様が亡くなり、姉夫婦とお父様の生活も継続されていましたが、お父様に認知症が疑われるような症状がみられるなど、体調が芳しくない日々が続き、姉夫婦と共同生活を始めて5年が経過するころに、お父様も亡くなられました。
お父様が亡くなって間もないうちに、相談者様の姉が、お父様の遺言書があると相談者様に遺言書を提示してきたそうです。
その遺言書には、「全財産を長女に相続させる」といった内容が残されており、姉から開示を受けたお父様(被相続人)の預金が、相談者様が把握していた金額よりも大きく減少しており、大変驚かれたとのことでした。
もともと姉との関係がギクシャクしていたこともあり、姉が父の預金を使い込んだり、不正出金を疑った相談者様は、今後の対応についてどうするべきなのか、専門家に相談をされたいとのことでした。
そこで、インターネットで「遺留分」「相続」などで検索したところ、三輪知雄法律事務所のホームページを見つけ、メールフォームより問い合わせをしたところ、担当弁護士より返信メールがあり、希望日時に相談予約が取れたことから初回相談にいらっしゃいました。
遺留分とは
遺留分とは、一定の相続人について、被相続人の財産から法律上取得することが保証されている最低限の取り分のことで、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。
被相続人は、自身の財産の行方を遺言により自由に定めることができますが、被相続人の遺族の生活の保障のために一定の制約があります。
遺留分侵害額請求とは
被相続人が財産を遺留分権利者以外に贈与または遺贈したことが原因で、遺留分権利者が遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分を侵害されたとして、その侵害額に相当する金銭の支払を請求することをいいます。
3.法律相談後の経過
(1)受任通知の送付
初回相談で経緯を詳しく伺い、三輪知雄法律事務所へ委任されたいとのことでしたので、費用や見通しをご説明のうえ、委任契約書及び委任状の取り交わしを行いました。
委任状を取り交わしたことで、相談者様の窓口となって対応することが可能となります。相談者様の代理人となったこと、遺留分侵害額請求の意思がある旨を記載し、相手方の姉に対して受任通知を送付しました。
その後、姉に弁護士が付いたため、今後の交渉は、代理人間で行うこととなりました。
(2)弁護士に遺産・遺留分の調査を依頼するメリットとは?
預金の無断引き出し、使い込みが疑われる場合は、本当に無断引き出し、使い込みがおこなわれたのかまずはしっかり調査して、証拠を集めることが必要となります。
調査については、相続人が自分で行う方法もありますが、弁護士は「弁護士会照会」という制度を利用することができます。
そのため、相続人が個人として相続財産の調査を行うよりも、弁護士に依頼した方が、預金口座の取引履歴のほか、証券口座の取引履歴や保険金の支払い状況、被相続人が所有していた不動産や医療・介護の記録など、調査を幅広く、効率的に行うことができるといえます。
(3)弁護士による遺産・遺留分の調査、無断引き出し・使い込み金額の確認
本件においても、被相続人の遺産のうち、預金の額を把握するため、被相続人が生前使用していた口座など、複数の金融機関に対し、過去の取引履歴の開示を求めました。
また、被相続人が入所していた介護施設の介護記録や病院のカルテ等も確認し、生前の被相続人の生活状況を確認し、口座からの出金者は姉であることが特定できました。
その後、担当弁護士及び事務所スタッフにより、生前の被相続人の生活状況等から必要性がないと判断される出金について検証を行い、当方の主張に基づく、遺産(預金)からの使い込み額(使途不明金)をふまえた遺産目録(財産目録)を作成しました。
(4)相手方が無断で引き出し、使い込んだ預金を考慮した遺留分の請求
当方が作成した財産目録に基づき、姉に対して遺留分の請求を行いました。
相手方の弁護士は、当方からの請求に対し、当初は、預金の無断引き出し、使い込みや不正出金を一切認めない前提での反論をしてきましたが、相手方が早期解決を望んでいたこともあり、最終的には当方の主張の多くを相手方が認める形となり、遺留分額2000万円を相談者様に対して支払うことで合意が成立しました。
(5)最終的な解決合意書を弁護士が作成
担当弁護士において、相談者様に対する遺留分額2000万円の支払いに関する解決合意書を作成しました。
また、合意書には、相談者様の強いご要望でもありました、相続税を負担しないことや今後の親戚付き合いを一切行わないとする内容の条項を記載し、代理人間において取り交わしを行いました。
合意書に記載した支払期限までに姉から遺留分額2000万円が指定口座へ支払われ、本件解決となりました。
4.解決までに要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用
三輪知雄法律事務所が解決までに要した期間と弁護士費用は以下のとおりとなります。
解決までに要した期間と弁護士費用
○ご相談から解決までの期間
:約1年半程度
○三輪知雄法律事務所の弁護士費用
・着手金:33万円
・報酬金:経済的利益(相手方からの獲得額)の6.6%
※消費税込の金額。実費等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、個別の案件やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。
5.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント
三輪知雄法律事務所
担当弁護士・税理士:三輪 知雄
出身地:名古屋市。出身大学:京都大学法科大学院。
主な取扱分野は、遺産分割・遺留分の問題、企業法務、不動産問題、相続税の税務調査対応など。
預金の無断引き出し、相続財産の使い込み及び不正出金の対応は早期に行う必要があります
大切なご家族が亡くなられ、心身が疲弊している中、突然「遺言書がある」と言われれば、驚かない方は少なくないと思います。
しかも、遺言書の内容がご自身以外の相続人に「全ての財産を相続させる」といったものであれば、なおさらです。
今回の事案のように、ご兄弟が被相続人(親)の遺産、相続財産を使い込んでいたり、預貯金の無断引き出し、不正な出金があるなど使途不明金が存在するケースは意外に多く見受けられます。
遺産が使い込まれたり、不正に出金された金額のうち、自らの相続分(遺留分)に相当する部分は、本来であれば受け取ることができたはずの相続財産ですから、早期に弁護士に相談すべきです。自らの思い込みだけではなく、客観的な視点からも、使い込みや不正な出金について正しく調査・検証することが重要です。
その上で、遺産の使い込みや不正出金を元々の相続財産に合算して遺留分の請求をすれば、相続財産の一部を取り戻せる可能性があります。
また、遺留分の請求には、1年間という時効があります。
遺留分の請求の時効は1年間
- 相続を知ったとき、贈与または遺贈があり、それらが自身の遺留分を侵害していることを知ったときから1年以内
- 相続の開始を知らなかった場合は、相続開始から10年以内
相続人であれば、金融機関に対し、被相続人の過去の取引履歴の開示を求めることは可能ですが、対象の金融機関が複数ある場合の手続きは、大変煩わしく感じるかと思います。弁護士であれば、代理で取引履歴を取り寄せることが可能です。
預金以外の相続財産についても、資料だけでもかなりの量になるため、ご自身でそれらを参照して、遺産目録の作成・検討や遺留分の調査を行うのは、かなり大変な作業かと思われます。
今回の相談者様のように、突然、兄弟姉妹から相手が全財産を相続する内容の遺言書を開示されて気持ちが落ち着かないことと思われますし、開示された相続財産の内容に納得がいかないのであれば、弁護士に相続財産や遺留分の調査を依頼し、気持ちに区切りをつけることをお勧め致します。
三輪知雄法律事務所には、預金の無断引き出し、不正出金、遺産や相続財産の使い込みに関する遺留分請求の経験と知識がある弁護士が所属しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
6.預金の無断引き出し、不正出金及び相続財産の使い込みがある遺留分請求の対応に強い三輪知雄法律事務所へのお問い合わせ
「預金の無断引き出し、不正出金及び相続財産の使い込みがある遺留分請求の対応に強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
※この記事は公開日時点の法令等をもとに作成しています。
※個人情報保護及び争点の理解等の観点から、結論に影響がない範囲で事案の一部を変更して記載している場合があります。