こんな場合はご相談ください!

相続人の方の中に、例えば重度の認知症などで判断能力のない方がいる場合には、遺産分割協議ができずに、相続手続がストップしてしまうことがあります。
例えば、以下のようなケースです。

  • 認知症の母の年金を同居の独身の息子が使い込んでいるので、返還してもらいたい。遺産分割では、それを考慮した分割をしたい。
  • 父が亡くなり遺産分割したいが、母が重度の認知症であり、手続が止まってしまい困っています。
  • 障がい者の子供がおり、自分と妻が認知症になった後の子供の生活が心配です。そのような場合に、自分たちの代わりに、責任をもって面倒を見てくれる人、親族ではなく、専門の資格者で、横領などしない方を探している。

相続手続がストップしてしまう理由は?

このような場合に手続がストップしてしまうのは、遺産分割に基づく同意という行為が「法律的な行為」であり、相続人に判断能力が必要とされるからです。
判断能力とは聞き慣れない用語ですが、「遺産の分け方や、分けたことによって生じる損得などについて理解できる能力」があれば問題ありません。ただし、それがない場合には、遺産分割協議は不可能です。

判断能力が低下した認知症や障がい者の相続人の代わりに、別の人が署名・押印しても、その遺産分割の合意は、法的に無効です。

後日、無効事由があることに気づいた相続人等から、裁判所に、遺産分割の無効を前提とした申し立て等がなされた場合には、判断能力が正常な人も含め、遺産分割がやり直しは避けられないことになります。
無効事由を隠ぺいして手続を進めたことに対し非難されたうえ、莫大な時間無駄な費用の支出を余儀なくされることになります。

では、このような場合には、どうすればよいのでしょうか?

認知症の親の預金を同居の子が使い込むのを防止する手段・・成年後見

認知症の親と同居している子が、親の貯金や年金を使い込んでいるのではないかというご相談が寄せられることがあります。

子供のうちの一人が親の面倒を見るということはよくある話ですし、他の兄弟もそれで納得している場合には、親が認知症であろうと特段の問題は生じませんが、親の財産面に問題が生じてくるのであれば、対策をとる必要があります。

親の財産を管理している子から、定期的に、他の子供に対し、財産の管理状況を開示させることが必要ですが、様々な事情によりそれが話し合いではできなくなった場合には、認知症の親について、成年後見の申し立てを行うことが一つの解決策となります。

成年後見人の就任により、親の財産の管理状況が明らかになりますし、使い込みの額が明らかになれば、返還の請求を行うことも可能となります。

成年後見に必要な手続

相続人の中に判断能力がない方がいる場合に遺産分割をするときには、その方について成年後見を申立て、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらう必要があります。

ただし、成年後見の申立てには、次のような点を留意して慎重を期する必要があります。

成年後見の申し立ての注意点

①成年後見人は、家庭裁判所が選任するものであり、相続財産の額やその後に想定される手続の中身によっては、弁護士や司法書士の専門職が選任されるケースもある(親族が成年後見人に選任されるとは限らない)。

②専門職が成年後見人となった場合には、報酬を支払う必要がある(親族ではなく、「本人」=認知症の高齢者や障害者の財産から払われます)

③成年後見人が選任された後の遺産分割協議では、成年被後見人の法定相続分は確保する内容の遺産分割内容としなければならないことが多い(高齢者や障害者はそれほどお金を使うことがないから、相続額は少なくしようと他の相続人が同意しても、その実現は難しいことが多い)

④遺産分割協議が終わったとしても、成年後見が終わるわけではなく、原則、成年被後見人が亡くなるまで、成年後見が継続する。

成年後見については、以上に述べたような制度の特徴があります。相続人の中に判断能力がない方がいる相続については、成年後見制度の利用について、これらの点もあわせてご検討ください。

三輪知雄法律事務所では、成年後見人、保佐人、任意後見人など、複数人について家庭裁判所から任命をうけて業務を行っており、後見人実務について精通しております。

遺言作成、任意後見人の選任、成年後見の申し立て、遺産分割交渉から、死後の相続税の申告まで、相続問題全般についてご相談が可能です。ホームページからの法律相談は、初回無料となっております。一度ご相談ください。

任意後見の手続について

一般的な成年後見では、原則、成年後見人になる人を選ぶことはできません。
家庭裁判所の書式には、成年後見人の予定者について希望を記載する欄はありますが、本人の財産額など一定の事由があると、裁判所の判断により、本人が希望する親族ではなく、これまで関わりのない第三者の専門職の後見人が就任することがあります。

後見人になる人を予め選任することができる制度は、「任意後見制度」となります。
任意後見制度は、ご本人と後見人になる予定の人が、公正証書にて任意後見契約を締結する必要があります。
自分の判断能力が低下した時に何をしてもらい、そのための報酬はいくらかまで予め決めておきます。

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