1.遺産・相続財産の調査
相続財産や相続人調査の重要性について
被相続人と同居していたり、亡くなる直前まで世話をしていた相続人であれば、ある程度、相続財産について想像が付きますが、被相続人と疎遠な相続人にとっては、遺産について全く情報がないことも多いものです。
そんな相続人の方にとって、「母の遺産は、自宅と預金200万円しかなかったよ」などと兄弟(姉妹)が言ってきた内容が本当正しいのか、不安に感じられることもあるでしょう。
もちろん、相続財産に関して客観的な資料を提示されれば確認することができますが、一般の方が仕事の合間をぬって、客観的な資料を整えて相続人に示すことは稀といえます。
資料もない状況で相続については、あれこれと思い悩んで不安な日々を過ごすよりも、早期に相続財産や相続人について調査して、自分が請求できる財産や請求権について当たりをつけ、不安を取り除くことが何より重要と考えられます。
相続財産の調査費用:16万5000円~
また、家族関係・相続関係が複雑な方は、相続人の調査をすることが考えられますし、合わせて公正証書遺言の有無を調べる調査も可能です。
これらの調査費用は、16万5000円(消費税込)+調査に要する実費にて承っております。
なお、当事務所では、相続財産等の調査後、継続して遺産分割や遺留分の請求についてご依頼を頂く場合には、調査費用は(遺産分割・遺留分請求の)着手金の一部に充当させて頂いております。
したがいまして、調査の後で、遺産分割や遺留分請求のご依頼を頂く場合には、これらの着手金の全額ではなく、遺産分割や遺留分請求の着手金との差額をお支払い頂けばご依頼可能となっております。
相続財産の調査の重要性
相続財産の把握が不十分なまま調査を行わない場合には、相続手続上、様々な問題や支障が生じる可能性があります。
相続の承認と放棄の問題
まず、被相続人のプラスの財産よりも、マイナスの財産(借金・負債)の方が多い場合には、相続放棄の手続を行うことによって、相続人は借金・負債を引き継ぐ必要がなくなります。ただし、この手続は、原則として、相続開始から3か月以内に行わなければなりません。
この期間を経過してしまうと、借金や負債がすべて相続人に承継される危険がありますので、相続が開始した場合、遺産の大まかな概要だけでも速やかに把握する必要があります。
遺産分割の前提として相続財産全体の把握が必要
当事務所のご相談においても、「母の遺産は実家と預金200万円しかなかった。お前は東京だから、預金のうち150万円もらって俺は残りを相続すればいいよな。実家の名義変更の書類は司法書士から送らせるから」などと口頭で言われ、兄から150万が入金されたが、相続財産に関する客観的な資料もないため、本当に相続財産がそれだけだったのか不安です、というようなご相談が多く寄せられています。
弁護士や司法書士などの専門家が遺言執行者に就任しているケースでは、専門家が客観的な資料に基づいて、相続財産や債務の一覧(財産目録)を作成することが多いかと思いますが、相続財産の管理者が親族の場合には、そういった明確な資料がないか、資料を求めても開示されない状態も十分ありえます。
このような状況では、相続財産の全体が把握できていないことになりますので、自分が知らない相続財産があるかもしれない状態で、遺産分割に同意を余儀なくされる可能性もあります。自分にとって公平でない遺産分割協議が行われてしまうリスクも大きいといえます。
また、後々、別の遺産があることが発覚した場合には、遺産分割のやり直しに発展してしまうケースも考えられることから、必要であれば、弁護士に依頼して相続財産の全体を把握することが重要といえます。
相続財産の具体的な調査方法
預貯金について
通帳、又は、入出金履歴を確認することにより、最終の残高は確認できます。
もっとも、「確か、生前母は、○○銀行に1000万円以上の預金があったはずだが、姉から電話で亡くなった時点では、数百円しか残高がなかったと言われた。どのように調査したらよいか」。このようなご相談が多く寄せられています。
相続人の方であれば、銀行が要求する必要な書類(戸籍や印鑑証明など)を準備して銀行に問い合わせることは可能ですが、書式は各銀行ごとに異なり、手続がややこしいため、弁護士に一括して依頼した方が楽です。
また、口座から多額の出金がなされていたり、別の口座に振込がなされている場合、使途が明確な場合は問題ありませんが、他の相続人への出金等が考えられる場合には、弁護士に依頼し、振込先口座の照会を検討する必要があると考えられます。
不動産について
不動産については、法務局に申請して全部事項証明書(登記簿謄本)と、亡くなられた方の固定資産税の納税通知書が必要です。納税通知書が見つからない場合には、税務課や市税事務所などから固定資産評価証明書を取得します。
相続人の方であれば、一つ一つ法務局や市税事務所を回ることにより資料をそろえることは可能ですが、物件が多い場合など、資料に漏れがある可能性もあり、他の財産に関する資料集めと同時並行して行うのはなかなか大変な作業です。
当事務所では、これらの登記事項証明書、固定資産評価証明書の取り寄せ等を一括して行うことも可能です。
生命保険について
生命保険は、保険証券か、生命保険会社から定期的に送られてくる郵便物、生命保険料控除証明書や所得税の確定申告書の保険料控除欄から調査が可能です。
三輪知雄法律事務所では、「親が亡くなり、別の兄弟が生命保険金の請求を行ったようだが、保険金の支払日や保険金額など詳細が何も分からない」といった相談が寄せられることがあります。
その場合、当事務所では、生命保険会社に照会を行い、保険金額や支払日を調査することができますので、ぜひご相談ください。
株式、有価証券などについて
上場株式やその他の有価証券については、証券会社等から定期的に送付されてくる配当金支払報告書などの書類から銘柄、株式数、配当金額などを確認することができます。
相続から期間が経っている場合には、未払の配当金が発生している可能性があり、信託銀行(証券代行会社)に対して残高証明書の発行を依頼する必要があります。
相続人の方であれば、証券会社や信託銀行が要求する必要な書類(戸籍や印鑑証明など)を準備して問い合わせることは可能ですが、書式は各証券会社ごとに異なり、手続がややこしいので、当事務所から、証券会社や信託銀行等に一括して問い合わせ等を行い、株式数、銘柄、未払いの配当金の金額を調査することも行いますのでので、ぜひご相談ください。
非上場株式については、被相続人の生前の会社などに問い合わせることで判明する場合がありますが、評価が難しいので、専門家に相談すべきです。
自動車について
自動車については、車検証や自動車保険の証券、自動車税の納付書などを確認します。
車名とおよその年式がわかれば、インターネットでもある程度の時価を調べることができます。
その他の財産
その他の財産として、ゴルフクラブの会員権などが考えられます。
借金・負債について
負債、借金、住宅ローンについては、金銭消費貸借契約書、銀行やカード会社などから定期的に送付される書類等により、内容が確認できます。
2.相続人の調査
戸籍の取り寄せ・確認は大変です!
相続人の調査は、遺産相続で一番最初に確定しておくべきステップの一つであり、そのためには戸籍の確認が必要となります。
一口に戸籍と言っても、被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本、相続人自身の戸籍謄本や住民票などを取得する必要があり、戸籍の異動や住所移転がある方は戸籍謄本などを取得するだけで一大事です。
しかも、昔の戸籍(改製原戸籍)は手書きで記載されていることが多く、判読不能な文字で書かれている場合もあります。
三輪知雄法律事務所では、弁護士及びスタッフが、遠方の戸籍の収集を行い、一つ一つ手続きを進めていきます。
相続人が不明なケースは弁護士相談へ
相続人が不明なケースが生じる場面には、主に次のような場面があります。
- 被相続人は離婚しており、確か、先妻に子がいるはずだが、会ったこともなく、どこにいるかも知らない。
- 土地の名義が、例えば曾祖父や祖父の名義になっており、名義変更をしたいが、相続人が多数で、誰が相続人か分からない。
- 相続人の一部が行方不明になってしまっていて、どこにいるか分からない(生死も定かでない)
これらのケースの場合には、弁護士にご相談して任せた方がもれもなく、手続も早いです。
相続人の確定に必要な戸籍や住民票等を当事務所で取得し、相続財産の調査と合わせて、相続人を確定し、必要に応じて法定相続情報(※)を取得します。
なお、上記3の例のように、相続人の中に行方不明者がいる場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てなどを行い、問題を解決します。
※法務局の登記官が相続人の一覧を確認し、証明した書類。
3.遺言の有無の調査
被相続人が遺言を残したかどうか、その後の相続の方向性を決めるため、重要です。
家族に遺言があることを伝えている場合はよいですが、あえて伝えていないケースもあります。
三輪知雄法律事務所では、被相続人の遺言について、被相続人が公正証書遺言、自筆証書遺言を作成しているかどうかを調査します。
公正証書遺言は公証人役場、自筆証書遺言は、法務局の自筆証書遺言保管サービスを利用しているか確認を行います。
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※この記事は公開日時点の法令及び当事務所の取扱事例をもとに作成しています。